診療システムの構築に至った流れ
東京都、特に新宿区は令和2年3月後半から急激に新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の感染者数が増加し始め、4月7日の「緊急事態宣言」以降さらに感染経路不明者数が増加した。当初、十分なPCR検査を行うことが困難だったため、感染者数の正確な把握が困難だった。
そこで、区民に対する迅速な検査体制と病状に応じた診療体制の強化を図るためにCOVID-19感染者への新たな医療提供モデル「新宿モデル」の実施が提案された。
システムの実際の枠組み
新宿区では図のように令和2年4月27日より新宿区新型コロナ検査スポットでのPCR検査を実施してきた。近隣の診療所から紹介状を記載いただき、それをもとに国立国際医療研究センター(NCGM)内にある新宿区新型コロナ検査スポットでトリアージを行い、PCRを実施する流れとなっている。陽性者は新宿区保健所が中心となり、その重症度に応じて各協力医療機関・ホテルへ入院・療養を打診する形となっている。
ただしこの体制も令和2年7月31日をもって終了し、今後もCOVID-19の蔓延を防止するために、令和2年8月3日より新たに新宿区新型コロナウイルス検査センターとして運営を開始した。場所を新宿区保健所内に移動し、完全予約制となっている。
図.新型コロナウイルス感染症医療提供新宿モデル
参考:
国立国際医療研究センターホームページ:
https://www.ncgm.go.jp/pressrelease/2020/20200415press.html 2020.08.04現在
新宿区HPより 2020.08.05現在
https://www.city.shinjuku.lg.jp/whatsnew/pub/2020/0415-01.html
うまくいっている点
PCR実施の流れが明確化し、今までどこへ紹介したらPCRを実施してもらえるか不透明だった部分が明確化した。PCR陽性後の入院機関の調整なども保健所が一括して管理しているため、紹介元の診療所の負担は軽減されており、診断から加療まで比較的スムーズな流れを構築できている。
改善を必要とする点
保健所の負担が大きいため、現在のようにさらに感染者数が増加している場合、保健所の処理能力を超える可能性があり医療崩壊につながる恐れがある。検査から入院・加療までの流れをスムーズにするために、各医療機関の協力がさらに必要となる可能性が高い。
〈調査・掲載〉
「covid-19パンデミックに対応したプライマリ・ケア診療システムの集積」対策チーム